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Biophysical Journalに公募班・東北大学・中村修一氏の論文が掲載されました   論文   

Biophysical Journalに公募班・東北大学・中村修一氏の論文が掲載されました。

レプトスピラはコイル状細胞の内部にべん毛(Periplasmic flagellum, PF)を持つスピロヘータの一種である。一方向に推進している細胞の形態は前後非対称で、推進方向に対して前方がピッチの大きい左巻きらせん(Spiral end)、細胞の中心部分はピッチの短い右巻きらせん(Protoplasmic cylinder, PC)、後方はフック状(Hook end)を呈する。これまでにもレプトスピラ運動に関する研究は行われてきたが、その多くは定性的なもので、推進力発生メカニズムの完全理解には未だ至っていない。本研究では、斜光暗視野照明法によりレプトスピラの遊泳速度と細胞回転速度を計測した。さまざまな粘度条件下で計測を行った結果、らせん形パーツであるSpiral endとPCの最高回転速度はともに約150 Hzに達し、これらが同程度に推進に寄与していることが分かった。流体力学モデルを用いて細胞にかかるトルク(Torque, T)を計算したところ、PCのトルク(Tpc)に比べてSpiral endのトルク(Ts)の揺らぎが有意に大きいことが明らかとなった。定常状態では細胞全体にかかる力がゼロになるため、Hook endのトルク(Th)がTsに対して揺らいでいる可能性が示唆された。他のスピロヘータ種に比べ、レプトスピラの細胞は10-40倍固いと考えられていることから、この固い細胞を介して、両末端の回転の力学的変化が相互に伝搬され、細胞全体の力学バランスの調和がとれているというモデルを提案した。本研究は、レプトスピラの複数の運動パラメータを初めて定量的に示した点で重要で、本格的な運動機構解明の出発点となるものである。



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